年度末

とうとう学生生活が終わってしまった。何の感慨もない。たぶんすでに気分は労働者兼主夫だったからでしょうね。論文を書くのもなんとか時間を捻出してというかんじだった。それでも10年も同じところに所属するというのはけっこうなものだ。これからは映画館も大人価格。「職業は?」と聞かれたらなんて答えるのでしょう。状況に応じて「大学で非常勤講師やってます」「予備校でちょっと」「高校が…」なんて、都合よく使い分けることになるのだろう。名刺も何種類か作ろうかしら。「哲学者」という肩書も作ってみたりして。
論文を書き終わって、いまは初心にかえろうとしている。一本書いた原稿もそうだし、非常勤でやることも自分にとってはそのような意味をもつ。デカルト、ミル、トクヴィルを並べてみるとけっこうおもしろいということを発見してみたり。理系の一般教養の講義だけど、学生に楽しんでもらえて、なおかつ自分にとっての仕切り直しになるような講義をできたらと思う。作っているレジュメは、基本的には引用だけで構成しているので、並べ方が腕の見せどころ。問題は、自分が大学で講義を受けた記憶がまったくないことだ。手本がない。
しかし、大学で「哲学」という名前のついた講義を選択して、貫禄十分のじいさんではなく、私のような若造が出てきたら、学生も驚くのではないだろうか。