共産党宣言

で、その後は喫茶店で『共産党宣言』を読んだ。変な取り合わせだ。これまで『ユダヤ人問題』『ヘーゲル法哲学』『ドイツ・イデオロギー』『経済学批判要綱』などなどを読んだことはあったけれど、実は『宣言』を読んだことはなかった。どうせロクなこと書いてないんでしょ、と思っていたのである。未来社会の構想なんて聞かされても、と。
しかしまあ、これが実におもしろかった。歴史的分析と行為遂行的な文言が巧みに錬り合わされていて、大いに興奮してしまった。『宣言』はけっして予言などではなく、あくまでも宣言なのであり、呼びかけの言葉だ。それを理解していなかったことを深く恥じてしまった。歴史分析にしても、それ以前とは異なった歴史の再構成の試みであると理解すれば、これ以上なく独創的だろう。
読んでいて思ったのだが、マルクスの流行は、もしかしたら周期的にやってくるのかもしれない。日本の知的レベルが一定以上に保たれればの話だが。