『嵐が丘』を読んだ

眠れずに『嵐が丘』を最後まで読み通した。鴻巣友季子さんが何年か前に出した訳で、出版されたときに買ったのをそのまま放置していて、最近になって少しずつ読んでいた。鴻巣訳の本を読むのはクッツェー以来で、これまではエッセイをいくつか読んでいた(『孕むことば』は最高におもしろかった)。
嵐が丘』はいままで読んだ本の中で、最高に胸糞悪くなる人々ばかりが登場する小説だった。言葉の通じないわからんちんたちによる阿鼻叫喚の世界といった様相。ここまでとことん性格の歪んだ人々がこれでもかと登場してくる小説も珍しい。そんななかで気弱な人物が出てくると一息つける。気弱さって人間っぽさなのかもね。しかし同時に、わが身を省みても、気弱な人間ってまさに餌食になりやすいような…。それでもじたばたするか、静かに死んでいくか、どちらかしかないらしい。
まあ、物事を理解することと、我の弱さと、生命力のなさは、どこで結びついているのかもしれない。人の言うことを無視し、我を押しとおす人は、強そうだし。
ますます眠れなくなりそうだったが、朝の六時になっていたので眠りに落ちる。この前に読んだのは『ダロウェイ婦人』。「好み」という面では、こちらはすんなりと読めた。同じように「傑作」と言ってもいろいろありますねえ。次はジェイン・オースティンを読む予定。
……勉強しろ。