義務とか

大人になるということは、精神的に自律するということはもちろんだが、様々な人に対して責任をもつことができるということだと思う。この当たり前のことを自覚して、できる範囲で実践しようとすると、逆に、できないことはできませんとはっきり言うことが必要になる。自分の尻は自分で拭うということを云々するのは高校生に対してで十分で、ここで言っているのは、他人に対して何かをきちんと負うことができる、あるいは、できないと言明するということだ。誰に強制されるわけでもなく、きちんと自分の義務を果たす。たまにしんどいこともあるけれど、それを果たしていかないと、罪悪感にまみれて平穏に暮らすことができない。
しかし、そのような義務や責任を感じていることに、責任や義務の宛先である当の他人が、大して重大だとは感じていないことがある。いや、感じていないというよりは、予め赦してくれているというか。とてもありがたいことだけど、狐につままれたような気分になる。自分が感じている以上に、周囲の人はとても寛容であるということもありうるらしい。単に独力で何かをやり遂げるというだけではなく、正しいやり方で誰かに何かを負うということも、人は切実に必要とするものなのだろう。