また来年

今年、我が家のベランダの真下に、燕が巣を作った。これまでは二年連続で巣を作っている途中でカラスに壊されてしまっていたのだけれど、今年は子供たちが誕生して、元気にうんちを落としていた。

これは今月5日に撮ったもので、たぶん、生まれたその日か翌日にあたる。目は開いていないし、ほとんどハゲちょろんの状態。頭にはぱやぱやとさみしく毛が風に揺れていた。そういえば、象の頭から背中にかけても、似たような毛の生え方をしている。ぴよぴよと鳴いてもそれが弱々しく、間近で聞いていても、遠くで鳴いているような聞こえ方だった。いっちょまえに餌を要求するのに、与えられた虫をげろっと吐き出したりしていた。


こちらは昨日撮影したもの。わずか二週間でこれだけ大きくなった。首まわりの赤が親よりも薄いけれど、羽毛がふわふわしているせいか、親よりも大きく見える。数日前からもはや巣に収まりきらず、はみ出している。食べたものの量に比して、大きくなるペースが恐ろしく早いように感じる。灰色の体と黄色い口の中というコントラストがはっきりしているのも、あまり長い時間のことではない。警戒心も、あるのかないのかよくわからない。落ちそうになったときのはばたきも立派なものだ。夜になると親鳥が巣の両側で子供たちを守るような格好だったけれど、一緒に並ぶと、もはやどれが親なのかはわからない。
幼稚園、小学校と、燕が巣を作るのは当たり前だった。大人になってからこれだけ間近に燕を見るのは、はじめてのことだった。あの頃は印象が深かったせいか、燕の子育ては長きにわたるものだと思い込んでいた。年中組のときには、巣を壊したカラスに、若い先生が本気で怒っていた。考えてみると、その先生も、たぶん20代の前半だったはずだ。実際には、燕はあっという間に大きくなる。
今朝、ゴミ出しのために外にでたら、すでに燕たちはいなくなっていた。朝早くに巣立ってしまったようだ。どうしても巣立ちを見たかったので、少し寂しい。二度寝をした後、燕の鳴き声が聞こえて窓辺に行くと、四羽の燕が遠くのほうを飛んでいたのが、少しだけ見えた。また来年。

〔追記〕
夜七時くらいになってぴーちくぱーちく聞こえると思ったら、燕たちが帰ってきていた。餌とりの練習にでも行ってきたのかしら。結局親にも食べさせてもらっていた。